top of page

第1回ワークショップでの理事長のお話

更新日:2021年12月13日



皆さん、NPO法人Mother’s Tree Japan理事長の坪野谷と申します。


 みなさんもご存知の通り、東京オリンピック・パラリンピックの開催に際し、一部の日人の人権・ジェンダー・国際理解にかかわる意識の低さが連日報道されましたが、皆さんはどのようにお感じになりましたか。このワークショップでは皆さんと共に、真に『暮らしやすい多文化共生社会』の在り方について、大いに語り合いたいと思っております。


 さて、私が当法人の活動に携わっていますのは、私と家族が海外生活をしていた実体験にその原点があります。私は30代の半ばに1年間イギリスに学び、そのあと香港に5年間家族帯同で赴任しました。仕事は国際金融の取引で、年の1/3は東南アジア各国に出張し、現地の方々に接しました。東南アジアと一口で言いますが、タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア・フィリッピン・バングラディッシ・ミャンマー等、それぞれに民族・歴史・文化・宗教・生活習慣も異なり、それを十分に理解しないと、失礼であるばかりか、仕事も円滑に進みませんので、多文化の理解が大前提でした。


 その後、家族ともどもイギリスに赴任し、5年間滞在しました。そこでも、イギリス人、フランス人、ドイツ人、イタリア人、東欧の人たちと仕事をしましたが、それぞれお国柄が異なり、生活習慣も異なり、考え方も異なりました。


 海外勤務10年間で、家族も相応に苦労したと思います。今日ここにおります、副理事長兼事務局長は、日本人小中学校で学んだのですが、外国人からのいじめや差別に遭い、日本人同士でもいじめに遭ったという経験もしています。日本に帰国しても、外国に住んでいた子女は、当時日本人からのいじめの対象にもなりました。なぜこのようなことが起きるのでしょうか。異文化や異質なものへの排除の心は、どうしたらなくなるのでしょうか。そこが今回のワークショップの一つの主眼と考えます。


 一方、事務局長は10年間の保育士をした後、産前産後の相談事業に携わり、主に日本人の産前産後の心身のケアを行ってきました。日本人でも産前産後の悩みは非常に深刻で、孤独感から鬱病になる傾向も社会問題化しています。ましてや、日本に居住する外国人女性の悩みは、推して知るべしです。そこで、私と事務局長の知識・経験・ノウハウ・人脈とをベースに、何かお役に立ちたいと賛同者を募り、昨年7月にNPO法人Mother’s Tree Japan を設立した次第です。


 ここで、今日のテーマについて、私たちのNPO法人のモットーを少しお話させていただきます。画面のボードをご覧ください。


 当NPO法人のメンバーであるカナダ人女性やイギリス人男性との会話を通じた、第一のキーワードは『value:価値』という言葉です。これは「あなたの存在は私たちにとってとても価値がある」という動詞として、Webサイトやパンフレットでも使っています。それぞれの価値観、文化、宗教、風習の違いを尊重し、その違いこそが、自分たちの社会を豊かにする資源である。そんな意識で活動をしています。


 第二のキーワードは、『transcend : 超越』という言葉です。これはお互いの違い認め、さらにその違いを超えて、新しい未来を一緒に創造していこう、という意味です。特に子育ての時期は、生まれたばかりの大切な命を育てる、という共通の課題があります。母親同士でお互いの「違い」を「知恵として持ちより」、子育てを中心に違いを超えていくことができるチャンスと捉えています。


 子育ての大変な時期だからこそ、良き友人、良きコミュニティのメンバーとして、共感と思いやりの気持ちで一緒に子育てをしていく。それこそが多文化共生社会形成の大きな最初の一歩として捉え、そのサポートをすることを活動の中心に置いています。


 私個人で言えば、外国の方との交流は何の抵抗もなく、お互いに新しいこと知る機会として楽しんでおり、そうした交流は外国の方もとても喜んでくれます。異国の地で自分達の文化を理解し、一緒に楽しんでくれる人と出会うことは、どの国の人でも嬉しいことなのではないでしょうか。


 お互いに目が合えば挨拶をする、優しいまなざし、暖かい言葉で敬意を持って接する。些細なことですがそれが何より大切で、共生社会の日常の姿でありたいと念願します。

 最後に、この先4回のワークショップを経て、豊島区での多文化共生の子育てモデルを皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。



閲覧数:21回0件のコメント
記事: Blog2_Post